2025年6月6日金曜日

たからの歩み(資金繰りの難関)④

 こんにちは。

平成18年にたからデイサービスを開設して、その後、単位を増やしたり、店舗を増やしたりして比較的順調に業績を伸ばしてきました。

今回のテーマは「資金繰り」です。

これは社長(又はそれに近い立場の方)、経理担当者にしかわからない苦悩かと思います。

業績は、右肩上がりで、売上、経常利益も上がってきたとき、ふと会社のお金がないことに気が付きました。

これって意外ではないでしょうか?利益は出ているのですよ。でもお金は減っていくのです。

顧問税理士先生に、なぜ利益が出ているのに手元資金が増えないの?と何度も疑問をぶつけましたが、「売上が伸びているときはお金が無くなるのですよ、経費として出す方が早いですから」といった理由で、頭では分かったつもりになるのに、どうも腑に落ちない日々が続いていました。本当にお金がどんどんなくなるのです。

今は説明できますよ。

介護保険サービスは、2か月後に入金になります。例えば、4月にサービスを提供した分は、6月23日に入金されるわけです。

そこで簡単に纏めるとこうなります。

     4月       5月       6月     7月     8月 

売上  100万円     150万円     180万円   200万円   200万円

経費  80万円        120万円        140万円   150万円   150万円

利益  20万円      30万円      40万円    50万円    50万円

入金                     100万円   150万円   180万円

資金  ▲80万円    ▲120万円    ▲40万円    ±0万円   +30万円


こんな感じになります。売上が増えると当然経費が増えます。人件費などの経費は当月支払うことになりますので、売上入金前に出金します。5か月間で利益は190万円出ているのに対し、資金は▲210万円となるわけです。

更に、多くの会社は借入があります。仮に300万円借り入れて会社を運営しているとしましょう。多いのは5年返済ですので、無金利だとしても月に5万円返済となります。

これを乗せるとこうなります。

     4月       5月       6月     7月     8月 

売上  100万円     150万円     180万円   200万円   200万円

経費  80万円        120万円        140万円   150万円   150万円

利益  20万円      30万円      40万円    50万円    50万円

入金                     100万円   150万円   180万円

借入資金 215万円         90万円          45万円     40万円   65万円


このように資金が増加してくるのは5が月後からということになります。それまでは、減少し続けるということです。上記例の場合だと、結構ギリギリですね。

実際には、こんな順調に、安定した利益を取れることは稀ですし、返戻や介護認定区分変更等で月遅れ請求になることも多々ありますので、だんだんと資金が足りなくなるといった現象が生じるわけです。更に更に、利益が出ると年度末に「税金」を支払わなければなりません。これは、結構バカになりません。手元資金が底をつき、支払いができなくなると「倒産」になります。

利益は出ているのにお金がない、所謂「黒字倒産」がこれで説明できます。

少し専門用語になりますが、「キャッシュコンバージョンサイクル(CCC)」という指標があります。これは簡単に言うと仕入れ代金を支払ってから、売上が入金されるまでの期間です。これが短ければ短いほど、資金繰りは楽になるということになります。

例えば、居酒屋さんであれば、当日仕入れた食材を当日売上げ、しかも現金でお支払いいただければキャッシュコンバージョンは1日ですね。一方介護の場合は、大体55日くらいです。

どちらの方が資金繰りが大変かは、一目瞭然ですね。

また、何か始めようとすると、「投資」を行う必要があります。その投資をしたら「回収」を考えなければなりません。そこで大事なことが、しっかりとした「計画」を立てることです。是非、地に足の着いた計画を立てることをお勧めします。

よろしければ、私がお手伝いしますよ(^_-)-☆

今回も、最後までお読みいただき、ありがとうございました。

2025年6月2日月曜日

たからの歩み(目標統一の難関)③

前回投稿からだいぶ間が空いてしまいました。
実は、私事、扁桃腺を切除する手術を受けまして、なかなか体調が安定しなかった今日この頃です。 

さて、続きまして、たからの歩み第三弾です。

規則を作り、ルールが統一されたところで、経営者として何を聞かれても答えられる自信がつきました。次にすることは、働く方の目標を統一することです。

今回は、目標統一の難関を書いていきます。

前回、組織を作る上で重要なことは、目標を統一することであると書きました。とはいえ、毎日仕事をしていて、「今日からわが社は、日本一を目指していきます」のような抽象的な目標では、「へえ、そうなんだ、すごいね」といった感想で終わってしまいます。

働く方にとって、当社に所属しているということは、皆何らかの目的があるはずです。
この頃当社は、社員5名、パート職員10名で運営しておりました。

大前提として、仕事ですので、働いてサラリーを得ることは重要です。その他の目的は皆それぞれです。しかし、働きやすい、働き甲斐がある環境というのは、皆が求めるものですよね。その目的をかなえるために、私は、目標を統一することを考えました。

ここで初めて「経営計画書」を作りました。

普段経営をしていると、外部環境、内部環境の変化などにもまれて組織としての目標を見失いがちになります。
いわば、会社という小さなヨットで太平洋をさまよっているようなものです。従業員さんがオールを持ち、同じ方向に漕がなければ当然、ヨットはふらふらしてしまいます。やがて、従業員さんは気が付きます。このヨットは危ない、または、私はこのヨットには合わない。今のうちに違うヨットに乗り換えようと。

そうさせないように目標を統一し、皆が目指す方向性を決めるものが、経営計画書です。

経営計画書で最初に着手することが、「経営理念」を明文化することです。経営理念は、その組織の存在意義です。経営理念を作成した後は経営ビジョンを作成しました。ビジョンは、将来的に到達したい目標です。

そこから、社員の行動指針を作成して、第一弾経営計画書を作成したのです。
当社の場合、この一連の計画書作成を当時の社員5名全員で行いました。

これがとても良かった。

当時、「こんな感じで経営計画書を作成しますので、毎週水曜日に1時間残業して皆で考えましょう」と呼びかけました。最初は、あまり意見も出ず、「何やんの?早く帰りたいんだけど」といった雰囲気でしたが、初日の後半には、「普段自分たちがどのように利用者さんに接しているか」「この会社はこうなるべきなのではないか」といった前向きな発言が聞けるようになり、1時間があっという間に過ぎるという会議となったのです。

第2回、第3回と回数を重ねるうちに、従業員さんたちの業務に対する意識が変わっていきました。まさに自分たちが行っている介護が肯定されていくわけですし、他の従業員さんがどのような思いで日々業務に当たっているかが、明確になっていくわけですから。

約3か月を経て、経営計画書(A3用紙に一枚)が出来上がったのでした。

皆で考えた目標ですから、これは無視はできません。また、現場で判断に困ることがあれば、この経営計画書の内容に則り、判断ができます。更に、採用時に当社についての説明がしやすくなり、採用基準が明確になりました。

因みに現在の当社の経営理念は、以下になります。

利用者様の「自分らしく生きる」を支える活動を行う

「ありがとう」があふれる職場を提供する

何より、経営者として、方向性が明確になるとともに、一人歩きしない感覚が生まれます。

これは、本当にお勧めです。経営者だけではなく、是非、従業員さんも一緒に経営計画書を作成してみてください。

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。